伊豆諸島式根島には、島の各所に温泉が湧いているんだ。それも、海のすぐ近くにあって、海の水が混ざってちょうどいい温度になる、といった具合。ここ、「地鉈(じなた)温泉」も、そんな温泉の一つだよ。大地を鉈で割ったような地形から命名されたという温泉なんだ。自ら「秘湯 地鉈」と名乗ってるけど、ホントに秘湯かなぁ?

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 駐車場の脇から下を見下ろすと、段差がとても大きかったんだ。ビルにして7、8階分ほどもありそうな感じ。

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 少し下ってみたけど、これは登ってくるのが大変そうだから、いくかどうか迷ってしまった次第。でも、どうせ途中まで下りちゃったんだだから、行ってみようと、腹をくくったんだ。

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 確かに、地面を鉈でパカンと割ったような地形だね。この先の細くなっているところを抜けると…。

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 赤茶けた温泉があちらこちらから湧き出ていたんだ。う〜ん、これは確かに秘湯かも。

 地鉈温泉は、かなり鉄分を多く含んでいて、それが酸化して赤くなるみたい。式根島の温泉はいずれも海沿いにあって、水着で入るのがスタンダードなんだけど、このお湯だと、水着も赤くなってしまいそうだね。

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 あんな地形の先に、こんな温泉地が控えているだなんて、見つけた人はさぞかし嬉しかったに違いないね。

 湧き出る湯はかなりの高温だから、ちょうどよく海水と混じり合ってるところをさがすといいんだ。ボクは、水着を持っていなかったので、手を入れるだけで我慢。

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 ここは古くからの景勝地だったようで、岩肌に、この温泉のいわれ書きがあったんだけど、その年号が明治42(1909)年なんだ。今から、100年以上も前に、この場所がすでに多くの人が訪れる場所として整備されていたとは、当時の交通事情を考えると、驚くばかり。

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 岩にもかかわらず、こんな風に細かい文字が刻めているのは、この岩が「コーガ石」という軽石のような火山性の岩石でできているから。新島では高熱で溶かして、オーブグリーンの美しい新島ガラスに加工されるコーガ石が、ここ式根島にもあって、温泉の湧き出る地形を包んでいるからなんだ。


 そして、この場所を訪れる人は古くからたくさんいたようで、岩肌に「湯治記念」として、名前や訪れた年月日を掘り込んであるんだ。昭和30年代のものが多かったみたいだけど、中には昭和10年代と、戦前の物まであったりして、今となっては歴史の一部となっているよ。

 令和の現代にこんな掘り込みをしたら、それこそ、ひんしゅくを買ってSNSなんかにさらされちゃうだろうけれど、半世紀以上もの時を経たこれらの掘り込みは、当時の人々の感覚を知る貴重な資料といえるよね。

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 こんなところによく、と思えるようなところにも掘り込みがあって、掘り込んだ人々のエネルギーに驚くばかり。

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