かつて、世の中の人々の多くが鉄道やバスで行き来していた時代(つまり昭和時代中期)、地鉄でも国鉄でも(そう、JRがまだ国鉄と呼ばれていたころの話)、主な駅の前には必ずと言っていいほど、ちょっと一杯やっていくお店があったんだ。いわゆる駅前食堂ってやつ。

 例えば、地鉄南富山駅前や不二越駅前には、今でも駅前商店街がかろうじて残っていて、洋食屋さんや居酒屋が何軒かあるでしょ。大泉駅だって、今こそ駅舎は有沢線に向かって伸びているけど、遠い昔には、ホームから東側に向かって駅舎があって、その前には、今は駐車場になっているところに、いくつか赤ちょうちんが下がっていたような記憶があるよ。


 この日は、JR高山線速星駅前にある駅前食堂「たに川食堂」に行ってみたんだ。もちろん、高山線に乗ってね。「たに川食堂」は、実はそんなに古い食堂ではないんだ。けど、駅前で元気に営業しているこのお店には一回行ってみたかったし、どうせ行くなら一杯やってみたかったのだ。

 かくして、まずは『生ビール』。このお店では、『キリン一番搾り』が登場したよ。お通しには『しらすとわかめの酢の物』。いいねぇ。

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88_31←ここへ行けば富山にくわしくなれるよね 。

 お店の女の子におすすめは何?と尋ねたら、うーん、とちょっと考えてから、『チキン南蛮』『だし巻き玉子』って教えてくれたよ。ここは、おすすめに従おうではないか。


 登場したのは『チキン南蛮』。大ぶりのもも肉を1枚のまま衣を付けて唐揚げにしたのを、サクサク一口大に切ってあったんだ。その上から、甘酢あんかけ。

 このあんかけが、よそでは味わったことのない個性的な、それでいて、チキンを引き立てる絶品。おすすめされるのも納得の逸品だったんだ。あんかけのかかってる部分はだんだんしっとりしてきて、かかってない部分はサクッとしたままで、っていう食感の違いも楽しめて、素敵な『チキン南蛮』だったよ。

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 続いて登場したのが『だし巻風玉子焼き』。ほどよくだしがミックスされていて、醤油をかけた大根おろしをまぶして食べれば、東京築地で食べた『だし巻き玉子』に、勝るとも劣らない絶品。玉子、いったい何個使ったんだろ、って思うボリュームも素晴らしく、おすすめされるのも納得の絶品だったんだ。

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 こんな素晴らしき酒菜があるならば、これはおかわりせねばなるまい。『SAPPORO黒ラベル』を瓶でいただいたよ。

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 この日のメニューはこんな感じ。『牛すじ煮』『鶏の唐揚げ』といった基本もしっかり押さえられていて、見ているとあれもこれもと頼んでみたくなるよね。

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 『紅生姜のさつま揚げ焼き』『ジャガバター塩からのせ』といった、よそでは見ないメニューもあって、いつかもう一度訪れたいという気持ちでいっぱいになったんだ。

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 表は新しい感じだけど、中は、けっこう時代を感じる渋い造りなんだ。入り口を入ると、右側にはカウンターが奥まで続いていて、左側はけっこう広いテーブルの小上がり。入り口すぐには、壁でへだてた、穴倉みたいな一席もあったよ。

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 かくして満足したボクは、速星駅から再び高山線に乗って富山へ帰ることにしたんだ。

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 速星駅っていうのは、隣りにある速星日産化学の発送基地の役割を果たしているから、線路がたくさんあるんだよね。

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 跨線橋から南を写した風景。こんな風に真っ直ぐに続く線路を眺めていると、このまま遠くへ行ってしまいたくなるんだ

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