JR富山駅前の「MAROOT」が、ついにオープンしたね。ここ数日、もっぱらそのニュースで、人手もなかなかなのだとか。富山駅前がにぎわうのは、富山全体が元気になってとても素晴らしいと思うんだ。新幹線開業以来、だんだんとにぎやかさを増していた富山駅前だけど、これでようやく完成形に近づいてきたといえるかも。

 そんな、富山駅前の喧騒をよそに、こんな日には西町がすいているに違いないと思ったボクは、「J-MAXシアターとやま」で、映画を見てきたのだった(笑)。

 今回は、スティーブン・スピルバーグが監督した『ウエスト・サイド・ストーリー』。いまだに世界中でミュージカルとして上演されている不朽の名作を、エンタメの帝王スピルバーグがどのように料理したのか、自分の目で確かめようと思ったんだよね。といいつつ、実はオリジナル版は見たことがないのだけれど

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88_31←富山のいろいろを知りたい者は、ここを見るがよかろう

 結果をいえば、2時間半を超える大作にもかかわらず、そんな時間を全く感じさせない見せ方が、さすがのスピルバーグだったよ。ストーリー自体は、1950年代ニューヨークのウェスト・サイドをめぐるポーランド系とプエルトリコ系のシマ争いと、今となっては陳腐な印象だったり、主人公のトニーとマリアが、一目会っただけで(口も利く前から)恋に落ち、言葉を交わしたときには愛しているといってて、そりゃなかろうとつっこみたくなったりと、まぁ、1960年前後の映画の雰囲気を色濃く残しているんだ。

 でも、ニューヨークを俯瞰するカメラワークとか、カラフルな衣装を身にまとった勢いのあるダンスシーンとかは、圧倒的でさすがとしか言いようがないのだった。マリア役のレイチェル・ゼグラーの、澄んだ高音域の歌声も素敵だったし、トニーと深いつながりのあるバレンティーナの役を務めるリタ・モレノは、第1作でアニータ役を務めた女優さんだったりと、見どころと話題が満載の映画だったよ。

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『ウエストサイドストーリー』(c)2021 20th Century Studios. All Rights Reserved.

 今作でアニータ役を務めたアリアナ・デボーズのダンスがこれまた圧巻。耳にすれば誰もが「ああ、これもウエスト・サイド・ストーリーだったの」とつぶやくだろう名曲『アメリカ』にのって、ニューヨークの街を踊るシーンは、やっぱりこの映画でも見せ場の一つになっていたんだ。

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『ウエストサイドストーリー』(c)2021 20th Century Studios. All Rights Reserved.

 人種対立という極めて社会的な課題を扱いながら、オリジナルでは、白人が顔に茶色くメイクしてプエルトリコ系を演じるという、いわば自己矛盾のようなものを抱えていたこの映画。当時の世相としては、やむを得なかったのだろうけれど、そして、その自己矛盾を越えても支持されてきた、圧倒的なインパクトの映画だったのだろうけれどね。

 スピルバーグ監督は、そのあたりを十分踏まえ、プエルトリコ系のキャストはすべてラテン系だし、プエルトリコにルーツを持つ人もかなり多い、といったキャスティングを行っていたよ。あの「シンドラーのリスト」という3時間以上にもわたる超重々のストーリーを、物語として見せ切ったスピルバーグの面目躍如だと思ったな。

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『ウエストサイドストーリー』(c)2021 20th Century Studios. All Rights Reserved.

 スピルバーグ自身、この映画にはかなりの思い入れがあったみたいだけど、それも、スピルバーグ父がこの映画を好きだったからだそうで、本作もスピルバーグ父に捧げられていたよ。最後にクレジットが出たときには、ああ、父への愛がこの映画を支えていたのかと思ったり。