以学館の館長殿も書いてたけど、先日、ノンフィクション作家の半藤一利さんがお亡くなりになったよね。御年90歳といわれるから、天寿を全うしたといってもいいかも。

 半藤さんの書いた本は、ボクの書棚にも何冊かあるんだ。見つけたのは『昭和史』『昭和史戦後篇』『日本のいちばん長い日』『幕末史』の4冊。いずれも重厚で、それでいて、わかりやすいという素晴らしき本ばかりだよ。

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 中でも特筆すべきは、『日本のいちばん長い日』。第2次世界大戦の終了を迎えた日、昭和20年8月15日をめぐる24時間の出来事を時系列順に記した、ノンフィクションの名著だよ。

 最初に出版されたのは、昭和40年7月。当時、大変人気のあったジャーナリスト、大宅壮一氏の名を冠して出版され、平成6年5月には、その後の取材の結果をもとに修正を加えた決定版を本人名義で出版したといういわくつきの、日本の歴史に残る1冊なんだ。

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 ボクが『日本のいちばん長い日』というタイトルを知ったのは、古い白黒映画から。三船敏郎さんを阿南陸軍大臣役に、その頃の日本の映画界を代表する俳優陣が集まって1967年に製作されたこの映画を、正月映画として1月2日だか3日だかの夜中に、テレビで放送していたのを見たのが、初めてだよ。

 当時、おそらく中学生ぐらいだったボクには、終戦を迎えるにあたっての日本人の心の葛藤や、その日の軍人たちの混乱して錯綜する様子などなど、とてもインパクトある作品だったんだ。若き黒沢年男さんが演じた、あくまで抗戦を貫こうとする青年将校の鬼気迫る様子は、今でも記憶の中に残っているほど。



 その後、阿南大臣役を役所広司さんに、黒沢年男さんの役を松坂桃李さんに引き継いで、リメイクされたよね。そちらも見たし、かなり硬派に描いた映画に仕上がっていて、これはこれでとても素晴らしかったけど、終戦の日の実際の空気を感じたいならば、やはり三船版を見るに限るというのが、ボクの印象だよ。

 1967年版は、監督が岡本喜八さん、というのも素晴らしいが、なによりも、脚本が橋本忍さんによって書かれているのが素晴らしいと思うんだ。

 橋本さんは、『羅生門』『七人の侍』『隠し砦の三悪人』といった、歴史に残る日本の名画の数々の脚本を書いた作家。橋本さんが考える物語の展開や台詞の機微が、この作品を深いものにしたと思うんだ。

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 終戦の日を克明に描いた半藤さんがひも解く『昭和史』もまた秀逸。日本がたどった昭和の道を知るには、一級の書籍だと思うんだ。

 どの本も、日本人なら、一度は読んでおくとよいと思う本ばかりだよ。